【緑茶・蓮茶・ジャスミン茶】ベトナムの「お茶」は3種類!?ベトナムのお茶文化の歴史と変遷を徹底解説!

ベトナムの飲み物
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みなさん、シンチャオ!

みなさんは、普段どのようなお茶をのんでいますか?日本では、緑茶、ウーロン茶、ほうじ茶、麦茶など様々なお茶の種類がありますが、ベトナムでも様々なお茶が飲まれています。今回は、ベトナムで飲まれているお茶のうち、緑茶、蓮茶、ジャスミン茶について紹介していきます。

ベトナムのお茶

歴史

「旧唐書」(くとうじょ、唐の成立から滅亡(618年~907年)までのことが記された歴史書)によると、863年頃には中国南部からベトナム北部へお茶が移入されていたとされており、このころからベトナムのお茶の歴史が始まりました。

ベトナム語でお茶は「チャー(trà)」と呼ばれ、日本と同じように人々の生活に根づいていますが、これは近年になってからのことです。近代以前、お茶は貴重品であったため、北部の農村部などではヴォイの木の葉っぱやつぼみを乾燥させて煮出したヌオック・ボイという茶外茶を、南部ではクワやスターフルーツの葉を煮出したお茶を飲んでいました。

しかし、20世紀中盤にフランスから独立してからは、ダラット高原やタイグエン省などの有力産地を中心として、広く茶葉の生産が始まったことでお茶が普及し、ヌオック・ボイなどの茶外茶は次第に飲まれなくなっていきました。

ベトナムのお茶事情

ベトナム国内では、日本と同じように飲食店で出されたり、コンビニやスーパーなどで購入したりすることができますが、ペットボトルのお茶を購入するときは注意が必要です。ペットボトルのお茶すべてがそうではありませんが、かなり甘いことが多いです。

ファミリーマートなどの日系のコンビニや日本食材を扱っているところでは、おーいお茶yやコンビニのPBものなどなじみのあるパッケージのお茶を買うことができる場所もありますが、ローカルスーパーなどでは、甘いお茶しか扱っていないことがほとんどです。

甘いお茶に抵抗がある人は、水を購入することをおすすめします。水も種類がたくさんあり迷うかもしれませんが、「いろはす」のような色合いの水が飲みやすいと思います。

お茶の言い方

ベトナム語でお茶は、チャー(trà)もしくは、チェー(che)と呼ばれ、主に北部では「チェー」、南部では「チャー」と呼ぶことが多いようです。本記事では、「チェー」だとベトナムのデザートの名前と一緒になってしまうため、お茶のことは「チャー」と表現することにします。

緑茶

ベトナムの緑茶

ベトナムでも日本と同じように緑茶を飲むことがあります。ベトナム語では、チャーサン(Tra xanh)といい、タイグエン省(ハノイから車で約1時間半の場所)で生産されているものが有名なこともあり、主にベトナム北部で飲まれることが多いです。

タイグエンには、お茶文化センターという施設もあるようで、観光スポットとしても一部では有名です。味は、日本で飲まれるものよりも苦い(渋い)ものが多いです。

種類

ベトナムでも、日本と同じように産地によって種類がいくつかに分かれています。中でもタイグエン茶(Tra Thai Nguyen)、タンクオン茶(Tra Tan Cuong)、ノントム茶(Tra Non Tom)が有名です。

タイグエン茶は先にも触れたように、タイグエン省で生産されているベトナムのもっとも一般的な苦味(渋み)の強いお茶です。国内で消費されるほか、中国や台湾などに輸出されるなどお茶の本場でも受け入れられているお茶です。

タンクオン茶は、同じくタイグエン省のタンクオン村で生産されているお茶で、苦味が少なく、日本の緑茶に近い味わいが特徴的です。

ノントム茶は、タンクオン茶の中で緑茶の香りがとても豊かな最上級品のことを指します。厳選された一芯二葉(つぼみと若葉2~3枚)で作られるため、上質な味わいを感じることができます。

飲み方

お茶の飲み方には、南部で違いがあります。北部では暖かいお茶(チェー・ノン)が、南部では氷を入れた冷たいお茶(チャ・ダー)がよく飲まれています。また、若者には濃くて苦いお茶が苦手な人も多く、そのような人たちは「チャーチャイン」という、緑茶をベースに、ライムと甘味を加えた冷たいドリンクがよく飲まれています。

また、宮廷式のお茶の入れ方も存在し、本格的なお茶を楽しむ人も多いようです。

蓮茶(ロータスティー)

蓮茶とは

蓮茶とは、蓮の花や葉を使用したベトナムで生産される花茶の一種で、ベトナム語ではチャー・セン(trà sen)と呼ばれています。花茶とは、花の香りを利用したお茶のことで、花香茶と呼ばれることもあります(詳しくは後述)。

美肌・美容効果のほか、リラックス効果、安眠効果、新陳代謝の促進効果などがあり、ベトナムで広く親しまれているお茶の一つです。バオロック(ダラット)で生産されています。

花茶とは

花の香りを茶葉に移したり、乾燥させた花弁を茶葉に混ぜたりすることで、花の香りを楽しむためにつくられたお茶のことで、緑茶の茶葉を使用して作られることが多いです。フレーバーティーと呼ばれることもあります。その製法や使用される茶葉は様々で、高級なものでは完成までに数か月を費やすものもあります。ジャスミン茶や蓮茶などが代表的です。

種類

蓮茶は、主に蓮花茶、蓮葉茶、蓮芯茶の3つのタイプに分かれます。蓮花茶は、蓮の花の香りを緑茶に移したもので最も一般的な蓮茶で、ベトナム語ではチャー・ホア・セン(trà hoa sen)です。一般的に飲まれるお茶であるため安価なものから高価なものまで様々な商品があります。

高価なものになると、緑茶の茶葉を花の中で寝かせ、蓮の香りを茶葉に移すという工程を繰り返すことになるため、1キロの茶葉を作るために1,000本もの蓮が必要になるといわれています。また、蓮のフレーバーや香料で香りづけされた茶葉をティーバッグにつめたものは安価で、ベトナム土産としても人気です。

蓮葉茶は、乾燥させた蓮の葉を使用したもので、ベトナム語ではチャー・ラー・セン(trà lá sen)と呼ばれます。蓮の葉を煎じていることもあり、漢方薬やハーブティーのような特徴的な風味があります。

蓮芯茶は、茶葉に乾燥させた蓮の胚芽(芽の部分)を混ぜたもので、ベトナム語ではチャー・ティム・セン(trà tim sen)と呼ばれています。蓮花茶より、苦み(渋み)が強く、好き嫌いがはっきり分かれる味です。

飲み方

蓮茶はふつうのお茶と比べるととても渋いため、70度以下のお湯で、2分以下で蒸らすのが最適であるといわれていますが、後で氷を入れたり、水で薄めたりして飲むことなどもあるため、少し長めに蒸らして淹れることもあります。また、水出しで淹れることもあります。

余談になりますが、ベトナムの街中でコーヒーを出している屋台でコーヒーを注文すると必ずと言っていいほどお茶も一緒に出されます。このお茶は店によって異なりますが、筆者が通っていたコーヒー屋台のおばちゃんは、氷を淹れたカップの中にお茶を入れ、さらに水を注いでいましたので、かなりしっかりと煮出していたのではないかと思います。

ジャスミン茶

ジャスミン茶(茉莉花茶)

日本で飲まれているジャスミン茶ですが、蓮茶と同じく花茶の一種です。ベトナム語では、チャーライ(Tra lai)とよばれ、主に高地で涼しいクアンナム省(ベトナム中部)やバオロク(ベトナム中南部、ダラットと同じラムドン省にある都市)で生産されています。

ベトナム産のジャスミン茶は香りがよい事で知られ、世界でも有数の産出国です。胃腸の活動促進効果やリラックス効果があるとされ、暑い日に飲むのにぴったりです。

味の決め手はジャスミンの花

ジャスミン茶の味の決め手はなんといっても、ジャスミンの花です。ジャスミンはイランが原産国だということもあり、熱帯性の気候を好む植物で20℃以上の温度を必要とします。さらに、花が開花する時期には、大気温が25℃以上であることが望ましいといわれています。

そのため、ジャスミンの花が収穫されるのは夏以降であることが多く、この時期には年間を通してもかなりの量のジャスミン茶が生産されることになります。ジャスミン茶に利用されるジャスミンの花は、花びらが完全で白色で、長い茎があると良質な香りを保持していると考えられており、収穫時期と収穫時間によって香りに大きな影響が出ます。

おわりに

今回は、ベトナムでよく飲まれている3つのお茶を紹介しました。今回紹介したものでは、蓮茶が日本ではなかなか味わうことのないものですので、ベトナム旅行の際には本場でその味を感じていただき、気に入れば自分用や友人知人へのお土産に買って帰ってみてはいかがでしょうか。

それではこの辺で、ヘンガップライ!