【日本製vs中国製!?】賛否が飛び交うベトナムの都市鉄道を徹底解説!中国支援のハノイ都市鉄道と日本支援のホーチミン地下鉄について徹底解説いたします

ベトナムの生活
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みなさん、しんちゃお!ベトナムハノイにマクドナルドが初めてできたかと思えば、次は都市鉄道が完成しました。ベトナムの発展はこれからどんどん続いていくとみられていますが、今回は、ベトナムの都市鉄道(地下鉄)について紹介していきます。

ハノイ都市鉄道

ハノイ都市鉄道の概要

2021年11月にベトナム初の都市鉄道として、「ハノイメトロ」の最初の路線(2A号線)で運転を開始しました。ハノイメトロが公表している計画では、全部で10路線整備する予定であり、このうちの2A号線で運転が開始されました。

2A号線は、ハノイ中心部ドンダー区カットリン駅と、住宅開発エリアであるハドン区イエンギア駅とを結ぶ約13kmです。この路線の駅は全12駅全て高架駅で、カットリン駅〜イエンギア駅の所要時間は約25分です。運行時間は、朝5時から夜11時(23時)までで、ピーク時間帯は約6分間隔、その他の時間帯は約10分間隔で運行しています。

運賃は8000ドン(約45円)〜15,000ドン(約84円)とベトナムの物価を意識した料金設定になっています。そのほか、1日乗車券は3万ドン(約167円)、1カ月定期券は20万ドン(約1,112円)となっています。(日本円への換算は1円=180ドンで計算)車両は4両編成で、約960人の乗客を運搬できるキャパシティがあります。

2A号線の建設

2021年11月に開業した2A号線は、中国の「中鉄六局集団」という会社が設計・調達・建設を一括して請け負いました。車両は中国の北京地鉄車両装備製の4両編成で、中国で車両を組み立てて、ハノイの外港に当たるハイフォン港へと運び込みました。

2008年に交通・運輸省によって2A号線の計画が承認され、2013年には完成予定でしたが、駅や沿線の土地収用などで遅れが生じて着工が遅れたほか、安全検査のやり直しや新型コロナウイルスの影響で、完成まで計画から13年かかりました。

これに伴い、総工費は当初の見積もりの5億5,200万米ドルから6割近く増え、8億6,800万米ドル(約18兆150億ドン)にまで膨らみました。建設のための資金は中国からの政府開発援助(ODA)を中心に活用し、約8割が中国の融資が占める結果になりました。

中国の企業がすべてを手がけていますので、駅の設計やチケット販売機、改札機など駅全体の雰囲気が中国にある地下鉄の駅ととてもよく似た造りになっています。ただし、中国各都市ではホームドアが設置されていますが、今回の路線の駅では乗客の整列を促すロープがホームに張ってある駅があるだけになっており、このロープがない場所もあります。

その他の路線の建設

3号線は、2010年9月に仏鉄道車両大手アルストム社によって建設が開始され、フランスの技術による建設が進んでおり、車両は同社が製造するメトロポリス(Metropolis)が導入されることになっています。フランス政府をはじめアジア開発銀行(ADB)や欧州投資銀行(EIB)が出資者となっており、中国色はまったく見られません。

ホーチミン都市鉄道

ホーチミン都市鉄道概要

ホーチミン市で最初に開業する予定の都市鉄道1号線は全長19.7kmで、ホーチミン市中心部のベンタイン駅とトゥドゥック市のスオイティエン駅を結ぶ路線です。繁華街のある中心部は地下を走り、地下駅が3カ所と高架駅が11カ所の計14駅が完成予定です。

駅はほとんどの駅で完成が見込まれ、2022年12月21日には高架区間(スオイティエン駅~ビンタイ駅までの約9km)で試運転が実施され、2023年の本格稼働を目指して着々と準備が進んでいます。

また、ホーチミン市中心部(1区)のベンタイン市場からタンソンニャット国際空港を経由し、12区タムルオンの車両基地までの2号線は全長11.3kmで2022年着工予定でしたが、コンサルタント側との合意ができず、途中自体という形で、計画が遅延することとなりましたので現時点では、着工は未定になりました。

車両は、ハノイメトロで中国がそうしていたように、日本で車両を組み立てて船で運搬するという方法で納入しています。2022年5月までに走行予定のすべての車両を納入し、トゥードゥック市にあるロンビン車両基地で走行試験を実施していました。1号線の車両と車両基地の検修設備は日立製作所が納入することになっており、同社は5年間の車両保守も請け負う包括的な契約になっています。

計画では、高速都市鉄道(地下鉄含む)8路線、路面電車1路線、モノレール2路線を整備する予定です。今回完成予定の1号線は、高速都市鉄道の1つです。

1号線の建設

1号線の建設費用は渋滞緩和や大気汚染の軽減などを目的として、日本の国際協力機構(JICA)による円借款が約8割を占めており、投資総額は43兆7,000億ドン(約2428億円、1円=180ドンで計算)となっています。ベトナム国営ゼネコンなど現地企業と住友商事などの日本企業が共同事業体を組んで
取り組んでおり、建設、車両の納入、信号システムの整備等が行われています。

争点となっている中国製と日本製問題とは

タイトルにもあるようにこの都市鉄道の開発を巡って、ベトナム国内や日本、中国で「中国支援のハノイ都市鉄道」と「日本支援のホーチミン地下鉄」の優劣、国際情勢、三ヶ国間の関係などが議論されています。

地下鉄が完成するまでの速度

中国が受注したハノイの都市鉄道は遅延を繰り返し、約7年かけ完成しそれから3年かけ安全点検などを経て開通までこぎつけたのに対し、日本が受注したホーチミンの都市鉄道は、遅延を繰り返しながら、着工から約11年で完成を迎えようとしています。単純に期間だけみると中国のほうが速く完成させています。

建設費用

ハノイの都市鉄道が18兆150億ドンで完成したのに対し、ホーチミンの都市鉄道は、43兆7,000億ドンを超える規模となっています。この数字だけ見ると中国のほうがいいようにも思えます。しかし、実際の工事距離を見てみると、ハノイは全長約13kmで12駅すべてが高架駅であるのに対し、ホーチミン市全長19.7kmで全14駅のうち3か所が地下駅で、11駅が高架駅となっています。

また、ホーチミン都市鉄道の中心的な役割を担うことになるベンタイン駅は3-4路線が乗り入れることもあり、何度か仕様変更が行われており、工事遅延の原因となっています。このような事情を考慮すると、必ずしも中国のほうがいいとは言い切れないことがわかっていただけるかと思います。

まとめ

今回は、ベトナムの地下鉄事情に関して説明してきました。現時点では中国のほうが早く安く完成させており、後発の日本が技術などで巻き返しを図ってほしいものです。ホーチミンの地下鉄はまだまだ完成していない状態ですが、早く完成して少しでも都市交通の改善に貢献することを祈るばかりです。完成しないことには、検証ができませんので。。

それでは、この辺で!

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