ベトナムは、世界でも有数のコーヒー豆生産国です。その影響もあり、街中にはたくさんのカフェがあり、ベトナムコーヒーを気軽に味わえます。ベトナムのカフェは値段も安いので、散策途中に立ち寄るのもおすすめです。
この記事では、ベトナムがコーヒー大国になった歴史と、ベトナムで飲みたいおすすめコーヒーを紹介します。インスタ映えするコーヒーも登場しますので、ベトナム観光の参考にしてみてください。
ベトナムコーヒーの歴史と世界有数の生産国になった理由
ベトナムコーヒーの歴史はフランス植民地と深い関係があり、コーヒー栽培が盛んになったのは18世紀頃といわれています。
今では世界に誇るコーヒー大国にまで発展しました。ここまで発展したベトナムコーヒーの歴史や豆生産量のデータを見ていきましょう。
ベトナムコーヒーの歴史
ベトナムは17~18世紀にかけて、ヨーロッパの宣教師が布教を行った際にコーヒー栽培を持ち込んだのが始まりといわれています。
そこから規模を拡大したのは1862年のこと。当時、フランス植民地だったベトナムは、フランスから持ち込まれたコーヒー豆「アラビカ種」の試験栽培を始めます。
「アラビカ種」は栽培が難しいコーヒー豆とされていました。しかし、ベトナムの気候や土壌が似ているカリブ海や南米ギアナでの栽培経験があり、フランスはベトナムにもコーヒー栽培が適していると判断。
当初はホーチミンの植物園で試験栽培をしていましたが、1884年にはベトナム北部で栽培を開始。徐々に中部へと拡大していきます。
1925年になると、中部のランビエン高原とバンメトートでコーヒープランテーションを開発。この地は少数民族が多く暮らしており、その人たちを労働者として雇いました。
ここで栽培されていたのは、以前から扱っているアラビカ種と新しく参入したロブスタ種です。
20世紀に入ると、ベトナム人にもコーヒーを飲む文化が浸透し、現在のようなカフェ大国にまで発展しました。
世界第2位の豆生産量を誇るベトナムコーヒー
ベトナムは、コーヒー豆生産量が世界2位と、世界有数のコーヒー大国です。2001年には、コーヒー輸出額も世界2位となり、ベトナムの産業を支える大切な産物になりました。
【2018年:国別コーヒー生産量】
順位 | 国名 | 生産量(t) |
1 | ブラジル | 3,556,638 |
2 | ベトナム | 1,616,307 |
3 | インドネシア | 722,461 |
4 | コロンビア | 720,634 |
5 | ホンジュラス | 481,053 |
ベトナムで主に栽培されているコーヒー豆はロブスタ種ですが、ロブスタ種に限っては世界1位の生産量です。
1986年、ドイモイ政策が開始され、ベトナムのコーヒー輸出量は増加。2001年から現在まで、コーヒー輸出国はつねに世界2位の座を維持しています。
ベトナムのコーヒー豆は、ヨーロッパやアメリカ、日本などに主に輸出されています。
ベトナムコーヒーに使われている豆の種類
ベトナムで栽培されているコーヒー豆の品種は「ロブスタ種」と「アラビカ種」の2種類です。輸出量が世界1位のロブスタ種は、ベトナムコーヒーを代表する品種といっても過言ではありません。
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
苦みや渋みが特徴のロブスタ種
ロブスタ種の最大の特徴は、苦みや渋みが他のコーヒー豆よりも強いこと。そのため日本では、インスタントコーヒーや缶コーヒーなどに使われることが主流です。
ロブスタ種は、高温多湿や標高300~800mの低地でも栽培できるため、アジアでも栽培が盛んの品種。また1本の木から多くのコーヒー豆が収穫できるのも、ロブスタ種の特徴です。
ロブスタ種はカフェインの含有量が多く、少糖類の含有量は少ないため、インパクトの強い風味が味わえます。ベトナムコーヒーもその特徴を生かし、さまざまなコーヒーが誕生しているので、飲み比べてみるのもおもしろいでしょう。
酸味や香りは、他の品種よりは劣ります。香りやコクを楽しみたいという方は、次に紹介するアラビカ種を使ったベトナムコーヒーを飲んでみてください。
酸味がありながら甘みや苦みも感じられるアラビカ種
ベトナムで使われているもう一つの品種がアラビカ種です。
アラビカ種はロブスタ種と違い、酸味やコク、香り、甘みなどが楽しめる品種で、コーヒー好きな方にも人気があります。
アラビカ種の栽培は難しいといわれており、高温多湿に弱く標高1,000~2,000mの高地で栽培。また収穫までには6年ほどかかり、1本の木は30年で収穫できなくなります。
ベトナムでは不向きと思われていたアラビカ種ですが、ランビエン高原を中心に栽培が行われています。
ベトナムでおすすめしたいコーヒー4選
ベトナムはコーヒー文化が発達しており、独自のメニューも誕生しました。おいしさだけでなく、インスタ映えにもおすすめのコーヒーが盛りだくさんあるので、ベトナムを訪れたらぜひ試してみてください。
まずは定番!練乳入りコーヒー
ベトナムコーヒーといえば、練乳入りのコーヒーです。濃い味と苦みが特徴のロブスタ種を、練乳と混ぜて飲みベトナムスタイルのコーヒーの飲み方です。
コーヒーが伝来した当時、ベトナムには冷蔵庫が普及していなかった影響で、生乳は高価な飲み物でした。その代用品として用いられたのがコンデンスミルクです。コンデンスミルクは常温での保存が可能なので、カフェオレに見立てて飲み始めたそうです。
グラス1/3ほどのコンデンスミルクを入れ、たっぷりの氷とコーヒーが入っているので、スプーンでゆっくり混ぜながら飲んでみてください。
初めのうちは練乳の甘さに驚きますが、癖になるおいしさです。
ハノイ発祥のヨーグルトコーヒー
ハノイで生まれたヨーグルトコーヒー。ヨーグルトの酸味がロブスタ種の苦みと相まって、爽やかなコーヒーとして人気を集めています。
ヨーグルトコーヒーは透明のグラスに2層になっているのが特徴。たっぷりのヨーグルトはとコーヒーのコントラストは、インスタ映えするとSNSでも話題です。
ロブスタ種は苦みが強いため、ブラックでは飲みにくいという方もいますが、アレンジ次第で表情豊かになるのも、ベトナムコーヒーの楽しみのひとつ。
ヨーグルトコーヒーはハノイ以外でも飲めますので、カフェで見つけたらぜひ試してみてください。
ふわふわ食感がたまらないエッグコーヒー
エッグコーヒーはベトナムで60年以上の歴史を持っている定番カフェメニューです。
名前の通り、エッグコーヒーには卵が使われています。黄身とコンデンスミルクを一緒に泡立て、クリーム状にしたものをコーヒーの上に乗せるドリンクで、スイーツのような甘さを味わえるのが特徴。
エッグコーヒーはカプチーノからヒントを得たという説があり、カプチーノと同じようにクリームがふわふわ食感で味わえます。お店によっては、クリームアートを描いてくれるところもあるので、舌と目で楽しめるのもおすすめポイント。
デザート感覚でコーヒーを飲みたいなら、エッグコーヒーに決まりですよ。
まとめ
今回紹介したベトナムコーヒーは定番メニューばかりです。ベトナム観光の合間に、さまざまなコーヒーを堪能してみるのもいいでしょう。
また、日本ではほとんど飲めないロブスタ種のブラックにも挑戦してみてください。