コロナの影響が比較的少なく、世界的にもアフターコロナの観光地として注目されているベトナム。その中でも最大の観光都市であるホーチミンの治安はどうなのでしょうか。
今回はホーチミン在住4年の日本人の目線から、同市の治安と気をつけるべきポイントをご紹介します。
ホーチミン市の治安の現状
ホーチミンの治安を一言で言うなら、「悪くはないが、決して良いとは言えない」だと思います。ベトナムは銃社会でも無く、麻薬も横行していないため、東南アジアでも比較的治安は「良い方」だと言われています。
筆者も基本的にこれまで住んできて、命の危機を感じたことはありませんでした。しかし、スリやヒッタクリ、ボッタクリの軽犯罪は日常的に起きています。
筆者も実際に、4年間でヒッタクリに3回遭遇しています。さらに旅行シーズンになると毎日のようにヒッタクリやスリなどの被害に会われた方が窓口に来られていました。
これらのことから、ホーチミンの治安は、比較的安全だけど、決して「日本基準の安全」ではない、ということを理解しておきましょう。
ホーチミンでよく起こる犯罪
ここからは旅行会社に勤めてきた筆者がよく耳にした旅行者を狙った犯罪についてご紹介していきます。これらの犯罪は事前に知識を持っておくことである程度防ぐことができます。ホーチミン旅行の際は、東南アジアの発展途上国にいることを理解し、常に最低限の危機意識を持っておくことが重要です。
スリ・置き引き
スリや置き引きなど、気づかないうちに財布や携帯電話を取られるという被害が多発しています。これらの対処法は貴重品はポケットに入れず、肌見放さずカバンなどにしまっておくです。
スリの場合、ほとんどがポケットの中身を気づかないうちにすられます。特に近年はスマホが重点的に狙われます。ベトナムではアイフォンなどは非常に高価なものなのです。
置き引きは、カバン等をテーブルに置いたまま目を話したすきに持っていかれるというパターンです。たとえ短時間であっても、肌見放さず持って移動しましょう。
ひったくり
ヒッタクリはエリアによっては非常に多いです。特に後述するエリアに行かれる際は最大限に注意しましょう。実際に筆者が見聞きしたヒッタクリ行為をご紹介します。
ちなみに筆者はBui Vien通り近くのDe Tham通りとCo Giang通りの交差するエリアで2回ヒッタクリに遭遇しています。このエリアはベトナム人でも「危険」という人も多くいるエリアのため、特に気をつけましょう。周辺にはスラム化した団地などがあります。
・路上でスマホを操作しているとバイクに乗った二人組が猛スピードで近づいてきてひったくられた(これは本当によく目にします!)
・酔っぱらって夜道をフラフラと歩いていたら、強引に押し倒され財布や携帯を盗まれそうになった(大声を出したので助かりました…)
・肩がけかばんの友人が、バイクに乗った二人組にカバンをちぎられそうになった(未遂でしたが友人は転んで怪我をしました)
これらの対策は、路上でスマホを操作するときは障害物に隠れたところで操作する、夜中に酔っ払った状態で出歩かない、カバンはリュックか見るからに丈夫な紐のものを使う(ハンドバックやトートバッグは避ける)です!
ヒッタクリは強引なため、これらの対策をしていても被害に合う可能性があります。大切なことは常に警戒心を持っておくことです。特に夜に繁華街を歩く際などは最大限警戒しておいて損はありません。
ぼったくりタクシー
ホーチミンでボッタクリが起こるのは、一部の悪質なお土産店(ベンタイン市場内に集中)とタクシーがほとんどです。それ以外、街中でボッタクリ経営をしている店はほぼゼロだと思います。
残念なことに後者のボッタクリタクシーは本当に多いです。パット見の見た目は大手タクシー会社と変わりありませんが、改造メーターが使用されていて、値段が数倍に跳ね上がります。
対処法は、入念に観察して見分けること、声をかけてくるタクシーには乗らないこと、ホテルやお店のスタッフにタクシーを呼んでもらうことです。
ぼったくりバイクタクシー
配車アプリの登場でバイクタクシーはすっかり減りましたが、それでも悪質なバイクタクシーの被害は今でもよく耳にします。特にドンコイ通りなどの観光地に出現するバイクタクシーは。たくみな日本語で日本人旅行者をカモにしようと近づいてきます。
彼らの手口は単純で、最初は安い値段で観光に連れて行く、と言っておいて、ボッタクリのお土産店(主に中華街のマフィア経営)に連れていく、終わってから数倍の値段を請求する、というものです。
よく日本語で書かれた感想が書かれたノートを見せてきますが、以前声をかけられた際に、とあるページに「悪い口コミがあるよ」と指摘すると、とその場でそのページを破り捨てていました(笑)
稀に善良な人もいるようですが、圧倒的に悪い人のほうが多いのが事実です。基本的にこれらのバイタクにはついて行かないようにしましょう。
ハニートラップ
男女問わず気をつけていただきたいのが、ハニートラップです。ベトナムは日本に比べて性風俗に寛大な国です。そのため、異性にたくみに近づいて、ものを盗む、ボッタクリバーやマッサージに連れていくという被害があとを経ちません。
危険だと感じるところには近づかないようにすることが懸命です。よくある被害は以下とおりです(非常に危険ですが、よく耳にします…)
・道端で女性に声をかけられ、一夜を共にすることに。そこで睡眠薬を盛られ、目覚めると財布や携帯がなくなっていた(睡眠薬強盗)
・客引きに声をかけられ、性風俗サービスを受けようとしたところ、怪しいホテルの密室に閉じ込められ、ナイフを突きつけられお金を出すように脅迫された
・繁華街で異性の集団に擦り寄られ、気づいたらポケットの中身がなくなっていた
これ以外にも性をつかった 犯罪は多種多少なため、くれぐれも甘い誘いや話には注意しましょう。
ホーチミンの治安が悪いスポット
最後に、ホーチミンでも特に注意していただきたいスポットをご紹介します。基本的に旅行者が集まる繁華街には注意しましょう。旅行で気が緩んだ人たちをターゲットにした犯罪者が集まっています。
ブイビエン通り
最も注意していただきたいのは、ベトナム最大の繁華街であり、バックパッカー街でもあるブイビエン通りです。この付近は明らかに他のエリアよりも治安が悪く、特に夜は本当に注意が必要です。
筆者もこのエリアで3回ヒッタクリに遭遇しています(見るだけなら10回以上目にしています)楽しくてにぎやかな繁華街ですが、このエリアを散策するときは最大限注意を払って歩くようにしましょう。
ベンタン市場
結論から申し上げると、ベンタイン市場で買い物すること自体、基本的に推奨できません。市場内のお店のほとんどが観光客向けのお店になっており、ボッタクリと言っても過言ではないお店も多数存在します。売り方もしつこく強引です…。
また、スリも非常に多いです。過去には大使館から観光客を狙った専門のスリ集団がいるとの報告もありました。この市場に入るときは最大限注意して入るようにしましょう。
レタントン通り(日本人街エリア)
毎晩在住邦人で賑わう繁華街、レタントンエリアも注意が必要です。特に気をつけていただきたいのが、人通りが少なくなる深夜の時間帯。夜遅くまで飲んで酔っ払った人を狙った、ハニートラップやヒッタクリがあとを絶ちません。
日本食レストランが立ち並びつい気を緩めてしまいそうになりますが、東南アジアであることを頭の隅におき、飲みすぎないように注意しましょう
ホーチミン観光は常に少しの危機感を
今回はホーチミンの治安を実体験を基にご紹介してきました。ここでは紹介しきれませんが、この他にも、「ポーカー詐欺」「日本のお金見せてスリ」など特殊な被害や方法が数え切れないほどあります。中には、クレジットカードを取られてしまい、限度額いっぱいキャッシングされた、という本当に悲惨な被害もありました…。
これらの軽犯罪はなかなかなくなることがありません。しかし、注意しておけば、防げるものばかりです。だからこそ、ホーチミン旅行の際には事前にしっかり注意事項を調べて、事前に対策を練った上で安心安全の旅行を楽しんでいただければと思います。