新鮮なスパイスやハーブをふんだんに使ったエキゾチックな味付けのベトナム料理の数々は、ベトナム旅行の醍醐味です。今回は南部最大の都市、ホーチミンで絶対に食べていただきたいベトナムグルメ10選をご紹介します!
ホーチミンの料理の特徴
ホーチミンはベトナム最大の商業都市であり、亜熱帯気候のまさに東南アジア!という街です。母なるメコン川の肥沃な三日月地帯(メコンデルタ)に位置し、近郊にはジャングルや広大な田園が広がっています。また、メコンデルタは広大な汽水域となっており、海老や蟹などの養殖も盛んです。
そのため、メコンデルタで取れる新鮮な香辛料やハーブ、野菜、フルーツ、川魚や蟹や海老などを用いた料理が発達しました。また、三毛作の米を利用して、フォーに代表される米粉を使った麺料理もたくさんあります。これらの料理は、タイやカンボジア、ラオスなど東南アジアで、よく見られますが、後述する歴史により、ホーチミンならではの料理が生まれています。
ホーチミン料理の歴史
ホーチミン市近郊のエリアは、かつてから東南アジア地域の東端として栄えてきました。フランス統治時代に「インドシナ」と名されたとおり、インドと中国(China)の真ん中に位置し、クメール王朝など東南アジアの文化と中国の文化がミックスされた独自の文化基盤を持っています。料理において中国の影響は非常に大きく、豊富な麺料理や甘辛い醤油ベースの味付けにあらわれています。
さらに19世紀からは、フランスの植民地占領下にあったため、フランス料理を中心とした西洋の食文化が急速に発達しました。ホーチミン市は「東洋のパリ」と呼ばれるほどコロニアル様式の建物が残っており、カジュアルなフレンチ料理も数多くあります。後述するフォーやバインミーなどはまさにフランス統治の影響が顕著に見て取れます。
一説には、ベトナム料理は中華料理とフランス料理のフュージョンであると評されています。世界三大料理のうちの2つをフュージョンさせるなんて、なんとも期待が高まりますね!
ホーチミン料理ベスト10
それではここからは、ホーチミン在住者である筆者おすすめのベホーチミンの名物料理10選をご紹介します!料理はいずれも定番の料理となっていますので、ぜひコンプリートしてみてくださいね!
フォー・ボーコー(Phở Bò kho)
やはりベトナム料理の定番であるフォーは外せないでしょう!ただし実は、フォーはベトナム北部発祥の料理のため、南部であるホーチミン市内では、フォーのお店は多くありません。しかし、この「フォー・ボーコー」は南部発祥の料理です!
ボーコーはズバリ「ビーフシチュー」です!フランス統治時代に発症した料理で、まさにホーチミングルメを体現した料理と言えるでしょう。フランス仕込みのトロっとした味わいのビーフシチューに、もったりとしたフォーがよく絡みます。
ちなみに、家系ラーメンの白米的な役割で、付け合せにフランスパンが出てきます。麺を食べ終えたあと、器に残った汁をパンで綺麗に拭い去れば、ホーチミンっ子の仲間入りです。
バインセオ(Bánh xèo)
Pho Sydney バインセオバインセオは南部発祥の粉もの料理です。米粉とココナッツを練り合わせ、ターメリックで練り合わせた生地をクレープのように薄く焼いて作ります。なんとも鮮やかな黄色が写真映えする料理です。
オムレツのような半月型の生地の中には豚肉とエビがたっぷり包まれています。さらにそれをハーブや葉物野菜で巻いて、甘辛いタレに付けて手で食べます。南部の定番家庭料理でもあり、家々で生地の厚さや中身が変わります。
一説には、「ベトナム風お好み焼き」と言われていますが、筆者は全くそうは思いません!むしろ欧米系の旅行誌で紹介されている「ベトナムクレープ」という表現のほうがあっていると思います。
バインミー(Bánh mì)
フランスパンにたっぷりの野菜と様々な具材を詰め込んだお手軽フード、バインミーはホーチミン発祥の料理です。一言で言えばサブウェイのサンドイッチです。
ホーチミン市内には本当に街のいたるところにバインミースタンドがあり、手軽に取れる軽食として老若男女に人気があります。ちなみに、フランスの植民地であったベトナムでは、日本でいう食パンはほとんど食べません。
具材はお店によって様々ですが、最も定番なものは、ハム、パテ( 豚肉ペースト)、大根や人参のなます、パクチーを挟んだものです。唐辛子がゴロッと入っていることが多いので、苦手な人は抜いてもらいましょう。
生春巻き ゴイ・クン(Gỏi cuốn)
みんな大好きな生春巻きもホーチミン発祥の料理です。ちなみに、日本では「生春巻き」と言われていますが、ベトナムでは、春巻きと生春巻きは明確に違う料理です。※春巻きもベトナム全土で食べられています。
春雨、豚肉、エビ、生のニラ、パクチーをふやけたライスペーパーで包んで食べる料理です。プリッとしたエビの弾力ともちもちとしたライスペーパー、パクチーのフレッシュが絶妙で、「生」という表現にも頷けます。
生春巻きはごく一般的な料理として普及しており、高級ベトナム料理レストランから屋台まで多くの場所で見かけます。屋台で食べる場合、一本50円程度とリーズナブルですが、衛生面は十分注意しましょう。
フーティウ(Hủ Tiếu)
実はベトナム南部の麺料理の定番はフォーではなく、このフーティウです。フォーと同じように米粉から作られる平麺ですが、南部の日ざしを利用してしっかりと乾燥させるため、コシと歯ごたえがあります。
ホーチミン市内にはフーティウの屋台や名店がたくさんあります!逆にハノイなど北部では全く食べられない料理であるため、ぜひホーチミンで味わってほしい麺料理です。
味付けは様々ですが、オーソドックスなものはあっさり甘辛い海鮮ベースの出汁に、エビとうずら卵が入っています。炒めて海鮮焼き風にしたり、汁なし油そば風のものもよく食べます。
コムスン(Cơm Sườn)
コムスンは甘辛く炒めた豚肉(スン)と砕けたお米(コムタム)がセットになった定食のような料理です。こちらもホーチミン市内のいたるところに屋台があります。
本来、コムタムは砕けた米を指す言葉ですが、甘辛い豚肉と一緒に食べることが定番化しているため、コムタム=コムスンと認知しておいても間違いは無いでしょう。
あまっからく味付けされた豚肉から滲み出る甘い油と、砕けたお米が非常に合います。意外にも朝ごはんの定番となっているので、朝からガッツリ行きたい人におすすめです。
ソフトシェルクラブ (Cua Lột)
メコン川ではカニやエビの養殖が非常に盛んです。日本で食べると高級なソフトシェルクラブもベトナムではリーズナブルに食べられます。さっくりと揚げられたカニを、殻ごとかぶりつくのはたまりません!
高級なレストランで味わうのも良いですが、ぜひ街の食堂で味わっていただきたい一品です。ソフトシェルクラブを提供するお店はあまり多くありませんが、邦人にもよく知られた有名店があるので、おすすめです。
ソフトシェルクラブの他にも、カニチャーハンやカニスープ、カニ春雨などカニづくしをリーズナブルな価格で味わうことができます。
花鍋 ラウ・ホア(Lau Hoa)
花鍋は、インスタ映えする料理として旅行客に人気がある鍋料理です。その名の通り、メコンデルタで採れた花をメインの具材にした鍋です。バナナの花、スイレン、かぼちゃの花の他、様々な種類の花がふんだんに入っています。
スープはベトナム南部特有の酸味と辛さのある爽やかなスープで、エビや貝などから出汁をとり、八角、ナツメグ、レモングラスなどのスパイスもふんだんに使われています。
花は詰んでからすぐに萎んでしまうため、どのレストランでも、基本的に要予約のメニューとなっています。事前に予約や確認をしてから向かうのがベターです。
バインカン(Banh Canh)
バインカンは日本でもおなじみのタピオカ粉を原料にした麺料理です。「タピオカ麺」と表現されることもよくあります。ベトナムではタピオカの原料となるキャッサバ芋がよく食べられており米粉麺や小麦粉麺についでポピュラーです。
つるりとしていてコシがほとんど無く、ペロッと食べられます。消化が非常にいいため、小腹がすいたときの間食にもおすすめです。大学やオフィス街には、小さなバインカン屋台がよくあります。
代表的なレパートリーは、カニのすり身と一緒に食べる「バインカン・クア」が有名です。濃厚なカニスープのバインカンクアは絶品で日本人の口にもよく合います。
バイン・チャン・ヌン(Bánh tráng nướng)
最後にご紹介するのは、南部のストリートフードの代表、バイン・チャン・ヌンです。ライスペーパーに、小エビ、チーズ、チリソースなどを振りかけて焼いたピザのような料理です。
料理というより、完全におやつの立ち位置で、グエンフエ通りやホーコンルア池など、若者や子供連れが集まるところには必ずと行っていいほど小さな屋台があります。
特にグエンフエ通りはバイン・チャン・ヌン激戦地となっており、夜になるといたるところに屋台が出現します。値段も1個100円前後なので、ぜひ見かけたらチャレンジしてみてください。
ホーチミン名物料理は安くて美味しい!
以上、ホーチミンの名物料理10選を御紹介いたしました!定番からストリートフードまで、どの料理も日本人の口に合うものばかりですので、ぜひご賞味ください。