ベトナムのカフェ文化は世界でも有名です。街の至るところにカフェがあり「ちょっとお茶したい」というときも困りません。
なぜベトナムにはこんなにもカフェが多いのでしょう。ベトナムにカフェが広まった歴史を紐解いていくと、その理由が見えてきます。
この記事では、世界有数のカフェ大国に発展したベトナムのカフェ文化について紹介します。おすすめのカフェメニューも紹介していますので、ベトナムへ旅行した際はぜひ飲んでみてください。
ベトナムにカフェ文化が広まった歴史
ベトナムは、どのようにしてカフェが浸透していったのでしょう。ベトナムにカフェ文化が生まれたのは、くしくもフランスに侵略された時代。
ここからどのように発展していったのか、その歴史を探っていきます。
フランス統治時代に持ち込まれたコーヒー
ベトナムは19世紀、フランスの植民地でした。この頃、フランス人宣教師がキリスト教を広めるとともにコーヒーを持ち込んだのが、ベトナムのカフェ文化の始まりです。
とはいえ、急にカフェが浸透したわけではありません。コーヒーを楽しんでいたのは、当時の役人や上流階級の人でした。ローカルのベトナム人がコーヒーをたしなむようになったのは、1970~1980年代のこと。
その頃はカフェというよりも、小さな船がカフェの代わりでした。その後、歩道の脇を利用してコーヒーの屋台が街で見られるようになります。
今でこそおしゃれなカフェが点在するベトナムですが、当時は小さなテーブルと椅子があるだけの簡易的なカフェが主流に。
この名残りは、ベトナムのあちこちでも見ることができます。
コーヒー栽培に適した立地
ベトナムがここまでカフェ文化が発展したのは、フランスから持ち込まれただけではありません。
実は、ベトナムの中央高原はコーヒー栽培に適した場所だったのです。フランスがコーヒーを持ち込んだ当時は、ニンビン省やタインホア省などで栽培が行われていました。
今ではランドム、ダクラクなどでコーヒー栽培が行われています。
この地は気候だけでなく土壌の性質がコーヒー栽培に最適で、アラビカ種の栽培から始まりました。
現在、ベトナムで栽培されているコーヒー豆は、アラビカ種とロブスタ種です。
コーヒー栽培のおかげで、ベトナムの経済にも大きな利益をもたらしました。今ではコーヒー豆の生産量は世界第2位です。
コンデンスミルクの使用は牛乳の保存方法が原因
ベトナムコーヒーというと、苦くて甘いというイメージがあるでしょう。これはコンデンスミルクが含まれているからです。
通常、コーヒーには牛乳というイメージですよね?しかし、ベトナムでは独自の文化が進み、牛乳の代わりにコンデンスミルクを使っているのが主流です。
なぜ牛乳を使わないのでしょう?それはベトナムの経済事情が原因でした。コーヒーが流行り出したベトナムでも牛乳を入れるという飲み方は変わりません。しかし、牛乳を保管しておく冷蔵庫が手に入らないのです。
ベトナムにとって冷蔵庫は高価なもの。新鮮な牛乳を保管するために冷蔵庫を用意するのは簡単ではありませんでした。
そこで考え付いたのがコンデンスミルクです。コンデンスミルクなら常温で保管することが可能。牛乳のようなまろやかさはありませんが、甘いミルクコーヒーがベトナム人にウケたのです。
そこからベトナムのミルクコーヒーは、コンデンスミルク入りということが浸透しました。
カフェによっては牛乳を使っているお店もあるので、ミルクコーヒーの飲み比べをしてみるのもおもしろいと思います。
ベトナムではおしゃれカフェがたくさん
ベトナムは本当におしゃれなカフェがたくさんあります。女子なら思わず「かわいい」といいたくなるカフェが無限になるので、正直どのカフェに入ったらいいか迷うほどです。
どんなカフェを選んだらよいか迷う方のために、ベトナムに来たら試してほしいカフェを2パターン紹介!日本では味わえないベトナムカフェの雰囲気を堪能してください。
路上カフェはローカルに浸れるおすすめのカフェ
ベトナムでは、ローカルの方が楽しむ路上カフェがたくさんあります。路上カフェのいいところは、カフェメニューの料金が安いこと。
店舗を構えているカフェも日本に比べ割安ですが、それよりも安いので気楽に立ち寄れます。
色鮮やかなプラスチック製の椅子に座って、ベトナムの街並みを眺めてみるのも楽しいもの。また、ローカルの人に交じってコーヒーを味わうのも、旅の醍醐味といえるでしょう。
カフェアパートでカフェ巡り
ホーチミンを訪れたらぜひ寄ってもらいたいのが、この雑居ビルです。グエンフエ通りにある建物は、ホーチミンの観光スポットのひとつにもなっています。
ここは通称「カフェアパート」と呼ばれており、雑居ビルの中にたくさんのカフェが入っています。
どのカフェもおしゃれなデザインで、思わず写真を撮りたくなるほど。テラス席もあるので、上からグエンフエ通りを眺めてみるのもおすすめです。
ただし日差しが暑いため、テラス席なら午前中か夜を狙ってみてください。
ベトナムで試してほしいカフェメニュー
コンデンスミルク入りのコーヒーもベトナム独自の文化ですが、ベトナムにはそれ以外にもオリジナルコーヒーがたくさん。
ベトナムでとくに押さえておきたい、とっておきのコーヒーを紹介します。
エッグコーヒー
ベトナムの温かいコーヒーといえばエッグコーヒーです。
エッグコーヒーはハノイ発祥のコーヒー。ふわふわに泡立てた卵黄と練乳が入ったコーヒーで、濃厚な味を楽しめます。
エッグコーヒーも牛乳が不足していた時代に発明された飲み物。苦いコーヒーを少しでもマイルドに飲めるために考案されたのがエッグコーヒーです。
とても甘いので甘いのが苦手な方は、ほかのコーヒーを注文した方がよいでしょう。
ココナッツコーヒー
コーヒーの苦さが苦手という方におすすめなのがココナッツコーヒーです。
ココナッツコーヒーは、シャーベット状のココナッツミルクとフレッシュミルク、コンデンスミルク入り。一見すると甘そうに感じますが、ココナッツシャーベットは甘さ控えめなので、デザート感覚で味わえます。
ヨーグルトコーヒー
ヨーグルトコーヒーもハノイ発祥のドリンク。
ヨーグルトの酸味、コンデンスミルクの甘さ、コーヒーの苦みと3つの味が混ぜ合わさって、何ともいえないハーモニーです。
ほかのコーヒーと違い、サッパリ飲めるのがヨーグルトコーヒーのよいところ。またカフェによってはアイスクリームが載せられているところもあるので、デザートとしてもおすすめです。
アボカドコーヒー
小腹が空いたときにおすすめなのがアボカドコーヒー。
もともとアボカドスムージーが流行っていたベトナムでは、コーヒーと掛け合わせたところヒットしました。
アボカド本来の甘さが程よくコーヒーと合わさって、大人のドリンクという感じ。またアボカドの濃厚さが、小腹を満たしてくれます。
アボカドコーヒーといっても、主体はアボカドスムージーです。コーヒーを少し入れたドリンクなので、コーヒーが苦手な方にもおすすめ。
見た目もかわいいので、インスタ映えにアボカドコーヒーを注文してみるのもいいでしょう。
まとめ
ベトナムにカフェが浸透した理由は、フランスの植民地だったことが原因です。またコーヒー栽培に適した土地があったのも、カフェ文化が広まっていた理由のひとつでしょう。
ベトナムは南北に細長い国のため、北に行くほど温かいコーヒーに出会えます。土地を変えれば、新しいベトナムコーヒーを味わえるのもベトナムの魅力。
はじめてベトナムを訪れる方は、カフェの多さにきっと驚くでしょう。ベトナムはローカルチェーン店も発達している